ご挨拶

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第29回日本遺伝性腫瘍学会学術集会
会長 杉本 健樹
(高知大学医学部附属病院 乳腺センター長 / 臨床遺伝診療部長)

この度、第29回日本遺伝性腫瘍学会学術集会を、2023年6月16日(金)~17日(土)高知市文化プラザ かるぽーと にて開催させていただくことになりました。大変光栄に存じますと同時に、関係の皆様に厚く御礼を申し上げます。

私は、遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)を主題とした本学会が主催する2009年の家族性腫瘍カウンセラー養成セミナー(現在の遺伝性腫瘍セミナー)に参加したことがきっかけで遺伝性腫瘍に取り組むようになりました。当時は遺伝診療を行う施設も少なく、すべてが自由(私費)診療でしたが、2018年 進行再発乳癌に対するオラパリブのコンパニオン診断としてのBRCA遺伝学的検査、2020年 乳癌卵巣癌既発症者に対するHBOC診断目的の遺伝学的検査とリスク低減手術およびサーベイランス、2022年 早期乳癌のオラパリブのコンパニオン診断とここ数年で次々と保険診療として認められるようになりました。癌未発症者に対する診療が保険未収載であること、他の遺伝性乳癌が置き去りになっていることなどまだまだ課題は多く残されていますが、乳癌患者の日常診療の中で遺伝性腫瘍を意識して診療する機会が急速に増えています。今後、遺伝性腫瘍の保険診療が拡大すれば、診療科・職種を越えて癌診療に携わる医療者が取り組むべき大きな課題となります。

私自身が本学会のセミナーに誘われたように、本学会は癌診療に関わる医療者に遺伝性腫瘍の重要性を認識させる大きな役割を担うと同時に、遺伝性腫瘍の基礎から臨床に至るまで一貫して職種・診療科を越えて一緒に学べる唯一の学会でもあります。
今回の学術集会のテーマは「遺伝性腫瘍診療の未来~がん診療と遺伝診療の融合」と致しました。「未来」とはしましたが、一部の領域ではすでに現在進行形で行われている医療であり、近未来の大きな課題であると考えています。

本学術集会では特別講演、シンポジウム、ワークショップ、教育企画、一般演題、ポスターセッション等を予定しております。基礎研究から癌診療・遺伝診療の現場でのプラクティカルな取り組みまで、そして、職種を越えてのチーム医療の実践やがんゲノム医療との関わり、プレバイバーへの対応やケアなど各方面、各地域から多数のご発表をいただき、遺伝性腫瘍診療の現状と課題を把握して、未来についてみなさまと一緒に考える学術集会を作っていきたいと考えて準備を進めております。

日本でもやっとウィズコロナ時代に入り移動制限が緩和され、大規模イベントも各地で開催されるようになってまいりました。ハイブリッドでの開催を予定はしていますが、できるだけ現地での企画を中心に開催したいと考えております。

高知県は山林面積が広く南は県全土が太平洋に向かって開けている上に、清流四万十川や仁淀ブルーと称される仁淀川など豊かな自然に囲まれています。南国特有のフルーツやカツオのタタキなど山海の豊富な食材に恵まれ、古くから日本酒を中心におもてなしの心を大切にする文化が栄えています。また、市街地では江戸時代の原型を留める高知城とその追手門に続く城下の路上で日曜市が開催されています。学会開催時には高知県出身の植物学者で生命の多様性を追求した牧野富太郎博士の生涯を描いたNHKの朝ドラ「らんまん」が放映中です。牧野植物園も会場から比較的近い五台山の山頂にあり高知市を眺望することができます。スタッフ一同で皆様をおもてなしの心でお迎えしたいと思っています。
多くの皆様に高知でお会いできること楽しみにしています。

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